ろ過すると臭いが減るのはなぜですか

 

・切削液のろ過でニオイが減少する理由とは?

 

 切削加工において不可欠な切削液ですが、使用とともに特有の不快なニオイが発生することがあります。このニオイは作業環境の悪化だけでなく、製品品質にも影響を与える可能性があります。実は、切削液を適切にろ過することで、このニオイを大幅に軽減できることをご存知でしょうか?このページでは、切削液のろ過がニオイ減少に繋がるメカニズムを解説します。

 


・なぜ切削液はニオイを発生させるのか?

 切削液のニオイの主な原因は、おおきく以下の3つに分けられます。

1. バクテリアの繁殖

 切削加工中に混入する切りくずや微細なゴミ、空気中のホコリなどは、切削液中でバクテリアの栄養源となります。特に水溶性切削液は水分を多く含むため、バクテリアが繁殖しやすい環境です。バクテリアは切削液中の成分を分解する過程で、硫化水素やアンモニアといった不快なニオイの原因物質を生成します。これが、切削液が「腐敗臭」を放つ主な理由です。

2. 油脂の酸化・劣化

 不水溶性切削油や、水溶性切削液に混入したマシン油などの油脂類は、空気中の酸素と反応して酸化・劣化します。この過程で、酸っぱいニオイや油臭いニオイを発生させる低分子の有機酸やアルデヒドなどが生成されます。また、熱が加わることで劣化が促進され、さらにニオイが強くなることがあります。

3. 混入物の蓄積

 切削加工中に発生する金属粉、研磨剤、塗料カスなどの固形物や、機械から漏れ出す潤滑油、洗浄剤などが切削液に混入します。これらの混入物が蓄積することで、切削液のpHバランスが崩れたり、バクテリアの繁殖を助長したりと、ニオイ発生の原因となる環境を作り出します。

 


・ろ過が切削液のニオイを軽減するメカニズム

 切削液のろ過は、上記で挙げたニオイの主な原因を根本から取り除くことで、効果的にニオイを軽減します。

1. バクテリアの増殖抑制

 マイクロキャッチろ過装置は、切削液中のバクテリアの栄養源となる微細な切りくず、スラッジなどを物理的に除去します。これにより、バクテリアの数を減らし、バクテリアが繁殖しにくい環境に変えることで、ニオイの発生源を断ちます。

2. 油脂の酸化・劣化の抑制

 ろ過によって、切削液中に混入した浮上油やスラッジを除去することは、油脂の酸化・劣化を遅らせる効果があります。これらの不純物が減ることで、切削液の化学的な安定性が向上し、ニオイの原因となる分解生成物の発生を抑制します。

3. 不純物の除去と切削液の健全性維持

 マイクロキャッチろ過装置は、金属粉、研磨剤、その他の固形物といったあらゆる混入物を切削液から取り除きます。これにより、切削液の清浄度が保たれ、本来の性能を維持することができます。不純物が除去されることで、pHバランスの変動が抑えられ、切削液が健全な状態に保たれるため、ニオイの発生しにくい環境が維持されます。

 



・マイクロキャッチろ過装置導入によるメリット

切削液のろ過装置を導入することは、ニオイの軽減以外にも多くのメリットをもたらします。

作業環境の改善 不快なニオイがなくなることで、作業者のモチベーション向上、健康被害のリスク低減に繋がります。
*製品品質の向上 清浄な切削液は、加工精度や面粗度を向上させ、不良品の発生を抑制します。
*工具寿命の延長 研磨作用を持つ不純物が除去されることで、工具の摩耗が減り、寿命が延びます。
*切削液寿命の延長 不純物が除去されることで切削液の劣化が遅くなり、交換頻度や補充量の削減に繋がり、コスト削減に貢献します。
*廃棄物処理コストの削減 切削液の寿命が延びることで、廃棄物の発生量が減少し、処理コストを抑えることができます。

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