鋳物加工の切削液ろ過

鋳物(鋳鉄)は炭素含有量が多く、切削液中に微細な炭素粒子が混入するため、高精度なろ過が不可欠です。
マイクロキャッチはフィルターを段階的に目詰まりさせて精度をあげることで微粒子を除去できるため、加工精度の安定化と工具摩耗の抑制に大きく貢献します。

 

 

マイクロキャッチ と 他方式の比較表

比較項目 マイクロキャッチ マグネットセパレーター ペーパーフィルター 遠心分離機
ろ過精度 0.5〜5μm 約20〜30μm 約5〜20μm 約10〜50μm
異物対応力 磁性・非磁性・セラミック・砥粒など全対応 磁性体のみ 一部非磁性体 比較的大きな粒子のみ
液寿命の延長 最大2〜3年に1回の交換でOK 通常半年〜1年 数ヶ月ごと 数ヶ月ごと
刃具寿命への影響 最大9倍延長の事例あり わずかに延長 わずかに延長 わずかに延長
環境負荷 廃液ゼロ設計、CO₂削減効果あり 廃液処理必要 廃液処理必要 廃液処理必要
メンテナンス性 フィルター交換約5分、工具不要 定期清掃必要 濾紙交換頻繁 定期清掃必要

 

効果的な利用方法

♯工作機ごとに設置する
  基本的には1台の工作機に対して1台のマイクロキャッチを設置することで、ろ過効率と液の清浄度を安定的に維持できます。

フィルターの選定と交換タイミングを最適化する
  加工内容やスラッジの量に応じて、0.5μm〜5μmのフィルターを使い分けるのが効果的。一般的な稼働条件では30〜40日で1巻の交換が目安です。

♯循環式ろ過を常時稼働させる
  工作機械のタンクから切削液を吸引→ろ過→戻すという循環式を常時稼働させることで、微生物の発生を抑制し、液の腐敗を防止できます。

♯フィルター交換は工具不要で約5分
  ホッチキス1つで交換可能な設計になっており、現場負担を最小限に抑えられるのもポイントです。

♯水溶性・油性どちらにも対応可能
  切削液の種類に応じてろ過ポンプを変更することで、幅広い加工現場に対応できます。

 

環境面でのメリット

♯廃液ゼロを目指す設計
  1トンの廃液削減で約2.92トンのCO₂排出削減効果があるとされており、環境負荷の低減にも貢献します。

♯臭気の発生を防止
  嫌気性バクテリアの発生を抑えることで、切削液の腐敗臭を防ぐことができます。